1. 結論(Point)
PC操作が苦手な中小企業の社長でも、Excelの「IF関数」とその仲間を覚えれば、請求管理・在庫確認・期限チェックなどの判定作業をほぼ自動化できます。手作業によるミスを減らし、確認にかかる時間を大幅に短縮できるので、日々の業務がぐっと楽になります。
2. 理由(Reason)
なぜIF関数がここまで役立つのか。それは**「条件に応じて結果を変える」**という単純な動作を、Excel全体に組み込めるからです。
例えば、
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「金額が入っていたら『入金済』、空欄なら『未入金』と表示」
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「在庫数が10以下なら『要発注』と表示」
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「日付が今日より過去なら『期限切れ』と表示」
こういった判断は日常業務に頻繁に現れます。これらを毎回手作業で目視チェックしていると、時間もかかりミスの温床にもなります。IF関数なら、この判定を自動化でき、しかも一度設定すればデータを更新するだけで結果も勝手に切り替わります。
3. IF関数の基本(Example①)
3-1. IF関数とは
IF関数は「もし(条件)ならA、そうでなければB」という形で結果を分ける関数です。構文は以下の通り。
例:支払済/未払いの判定
B2セルに金額が入っていれば「済」、0または空欄なら「未」と表示します。
4. 複数条件を扱う(Example②)
業務では「AかつB」「AまたはB」といった複数条件も必要です。このとき使うのがAND
とOR
です。
4-1. AND関数(すべての条件が真)
「未入金」かつ「請求額が10万円超」の場合に「要連絡」と表示。
4-2. OR関数(どれかが真)
在庫が10未満または欠品なら「要発注」。
5. ネストを減らす新しい関数(Example③)
IF関数を重ねすぎると読みづらくなります。そこでExcelの新しい関数IFS
やSWITCH
を使うと、条件分岐がスッキリ書けます(Office 2019以降やMicrosoft 365で利用可)。
5-1. IFS関数
点数によって「合格/再試験/不合格」を分ける。
5-2. SWITCH関数
等しい値に応じた結果を返す場合に便利。
6. エラーを見やすくする(Example④)
実務では参照先がない、検索結果が見つからないなどで「#N/A」「#REF!」といったエラーが出ることがあります。これらをそのまま表示すると見づらいだけでなく、印象も悪くなります。
6-1. IFERROR関数
エラーが出たら「未登録」と表示。
6-2. IFNA関数
「データが見つからない」場合のみ別の表示に切り替える。
7. 見た目で判断しやすくする(Example⑤)
関数の結果を文字だけでなく色やアイコンで表示すると、瞬時に判断できます。Excelの「条件付き書式」を活用しましょう。
7-1. 条件付き書式の例
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「未払い」のセルを赤く塗る
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期限が今日から7日以内のセルを黄色に
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在庫数が少ない順にアイコンで表示(信号マーク)
手順は「ホーム」タブ → 「条件付き書式」 → 「新しいルール」から設定できます。
IF関数で判定列を作ってから、その判定結果に応じて色を変える方法がシンプルで失敗しにくいです。
8. よくあるトラブルと回避法
8-1. 文字列と数値の違い
数字に見えても、実は文字列として入力されていると条件判定が効きません。「セルの表示形式」を確認し、必要に応じてVALUE()
で変換しましょう。
8-2. 空白セルの扱い
空白はゼロと同じように扱われることがあります。空白かどうかを確認するには=""
やISBLANK()
を使います。
8-3. 小数点の丸め誤差
計算結果が微妙にズレて条件判定が正しく動かないことがあります。丸めるにはROUND()
やINT()
を活用します。
9. まとめ(Point再提示)
IF関数とその関連機能を使いこなせば、社長自身がExcelを恐れる必要はありません。ポイントは次の通りです。
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IF関数は「もし〜なら…、そうでなければ…」を自動化する
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AND・ORで複数条件を組み合わせる
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IFSやSWITCHで可読性を上げる
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IFERRORやIFNAで見やすい表に整える
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条件付き書式で瞬時に判断できる表にする
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トラブルの原因を理解しておく
この基本を押さえれば、請求・在庫・期限管理が劇的に楽になり、ミスも減らせます。まずは一つでも実務に取り入れて、効果を体感してみてください。